原田治先生の新刊『ぼくの美術ノート』が亜紀書房より発売されました。
名著『ぼくの美術帖』から三十余年、アートは美術館のみで鑑賞するものではないことに
気づかせてくれる、素敵な1冊です。
http://www.akishobo.com/book/detail.html?id=804&st=4
原田先生は、森本美由紀のイラストレーターとしての転機を作ってくださった方でした。
森本美由紀没後も事ある毎に相談にのっていただき、保存会にとってもかけがえのない
存在です。
ご逝去のお知らせを受け取った直後は指針を失った喪失感に言葉もなく、その悲しみは
筆舌に尽くし難いものがありました。
けれど、一ファンとしても「大好きだったのに。悲しい」といつまでも後ろを向いて
いるのは、先生の本意ではないと思い直しました。
今はひとりでも多くの方に、新刊を通して独自の視点で切り取った美の数々を感じて
いただきたいと願うばかりです。
青空の下、行雲を眺めるように、ひとり「美術」を楽しみながら
歳をかさねてきました。
歳のせいで、美的感動を忘れそうになったら、また新たなる発見を
期待して、実物を見にでかけることにいたします。
上の2文は、いずれも『ぼくの美術ノート』から。
先生は今、浮かぶ雲や飛ぶ鳥の美しさに心を奪われながら、新たなる発見を求めて
長い旅をされていることでしょう。
「道中お気をつけて。素敵な気づきがたくさんありますように」
この言葉を、追悼に代えさせていただきます。
「森本美由紀 作品保存会」一同