2016年12月24日

森本さんのXmasカード

森本Xmasカード.JPG

これはその昔、婦人画報社の雑誌に掲載された、森本さんの
Xmasカードです。
筆のタッチからして、多分30年くらい前の作品かな。
このカードの持ち主は、当時編集部にいたYさん。
なぜこのカードが森本さんに返却されず、彼女が持っているのか。
それにはちょっとしたエピソードがあります。

その日、Yさんは雑誌掲載済みのイラストを返却し、次号の掲載作品を
受け取るために、初めて森本さんのアトリエを訪ねました。
今と違って、昔は何をするにも直接会うしかなかったんですよね。
ところがアトリエの場所がわからず、さんざん迷った挙げ句、道に開いていた穴に
足を突っ込んで転んでしまい、ヘトヘトになってアトリエに辿り着いたのだとか。
すると森本さんが「ごめんなさい」と言って、返却するはずだったこのカードを
Yさんにプレゼントしてくれたのだそうです。

自分のイラストで誰かが喜んでくれるのが大好きだった、森本さんらしい
エピソード。
しかもそれを今まで捨てずに取っておいたYさんも素敵です。
何しろ大昔のものなので、どこかにしまいこんでいたのですが、
それがたまたま一昨日見つかったそうで、Xmasの直前に偶然出てきた
ことにも不思議なものを感じます。

今日はイブですね。
来年も素敵な日々でありますように。
みなさま、よいXmasを♪



posted by チロリン at 14:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月05日

寄稿「イラストレーター森本美由紀さん回顧展」

津山高校会報誌1.JPG

森本さんの母校、岡山県立津山高校の会報誌に、同級生だった長滝恵子さんの
寄稿文が掲載されました。
長滝さんは森本さんの急逝後、当ブログに問い合わせをくださり、昨年弥生美術館で
開催された「森本美由紀展」では、高校時代に森本さんから贈られたイラスト入りの
手紙など、貴重な私物を快く出品してくださいました。

この寄稿文は2月に開催された岡山県立美術館での回顧展について書かれたものですが、
親しい友人しか知り得ない高校時代の森本さんの横顔も描かれており、また、森本さんの
仕事に対する姿勢なども的確に紹介してくださっています。

ブログで紹介したい旨を伝えたところ、快諾してくださいましたので、全文を
掲載いたします。
ぜひご一読ください。


「イラストレーター森本美由紀さん回顧展」
                     29期 長滝 恵子

 ファッション誌で活躍し、3年前54歳で急逝した森本美由紀さん
(29期。昭和53年卒)の回顧展が2月10日〜3月21日まで、岡山市の
岡山県立美術館にて開催されました。たくさんの作品が展示された会場では、
彼女が手掛けたCDジャケット「ピチカート・ファイブ」の曲が流れ、
男女問わず幅広い年代の人が、魅入っていました。
 彼女は津山高校卒業後、上京し、セツ・モードセミナーで学び、「mcシスター」
「ヴォーグ・ジャパン」等のファッション誌、映画、音楽、そして海外にも活躍の
場を広げた、日本を代表するイラストレーターでした。
 作品を観た殆どの人が「森本美由紀という名前は知らないけれども、どこかで
作品を目にした事がある」と言います。津山高校同級生の中でも彼女の活躍を
知っていた人は、数少ないと思われます。
 私の記憶では、高校時代の彼女は飄々とした印象で、津高生には珍しく、
長いスカートにペッタンコの学生鞄、朝の点呼で名前を呼ばれるギリギリに教室に
駆け込んでいた事が思い出されます。
 高校時代の彼女の部屋は、海外のレコードやおしゃれな外国雑誌が並べられ、
私の知らない世界がそこにありました。学校での印象とは、あまりにも違う一面に
衝撃を受けた記憶があります。豊かな感性は、当時からしっかり育っていたのだと
思います。画が抜群に上手く、彼女から届いた暑中見舞い、年賀状は、今でも私の
一番のお宝として大切に保管しています。
 作品は、ポップでカラフルなペン画から代表的な墨画等、幅広い画風。無駄のない
シンプルな線で迷いなく描く、スタイリッシュな世界。彼女が描く女性達は主体性を持ち、
愛に包まれ、幸せが伝わってきます。
かっこいい、かわいい、誰もが憧れる素敵な女性です。回顧展に行った友人に
「どれが一番好き?」と聞くと一番はみんな違います。それぞれの憧れが生き生きと
表現されています。
 彼女と最後に会ったのは、30年前の夏。イラストの仕事が増え、希望に満ちた時期
でした。その後、残念ながら彼女と会う機会はなく、回顧展で多くの作品や書籍に触れ、
彼女の偉業に驚かされました。
 彼女と一緒に仕事をされていた関係者の人達から話を聞くと「どれが原画かわからない
くらい何枚も同じ画がアトリエにあった。ひたすら描き続けていた」との事。高校卒業後、
早くから脚光を浴びていた彼女ですが、プロとしてストイックに努力を続けてきた彼女の
人生に胸が熱くなります。
 2011年、東北の震災では、彼女も大変心を痛め、その頃からおしゃれな画より、自然の
風景に心を寄せていたとも聞きました。豊かな感性を通して描く自然はどんな世界だったのか。
彼女の風景画も観たいです。
 今回、彼女の回顧展を通じて高校時代の懐かしい友人と何十年振りかの再会に恵まれた
事にも大変感謝しています。
 近い将来、彼女の回顧展が再び岡山の地で開催され、郷土出身のイラストレーター
森本美由紀さんが素晴らしい作品を遺している事を同窓会の皆様方を始め、多くの人々に
伝わる事を願っています。
 
                        (ながたき・けいこ。旧姓:川端。
                         昭和53年卒。鏡野町・鏡野中学校出身。)
posted by チロリン at 20:46| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月23日

森本美由紀と『暮しの手帖』

暮しの手帖表紙.JPG

現在NHKで放映されている朝ドラ「とと姉ちゃん」。主人公はご存知のように
『暮しの手帖』の創業者、大橋鎭子さんをモデルとしています。
ドラマは編集長に花森安治さんを迎え、創刊号を出版したところまで進み、
いよいよ佳境に突入。毎朝楽しみに観ている人も多いのではないでしょうか。

森本さんが20代後半の頃、ふたりでこんな話をしたことがあります。
「これまでたくさん雑誌の仕事をしてきたけれど、まだ仕事をしたことがない雑誌で、
到達点として1冊名前を挙げるとしたらどれか」
答えは二人揃って『暮しの手帖』でした。

広告を一切入れないからクライアントにおもねることもない。
指針はガンとしてぶれず、シンプルでいて美しい。
「電気釜の炊き比べ」などといった実名を出しての商品テストができたのは、
世界広しといえども『暮しの手帖』だけだと思います。
だから森本さんが初めて同誌から仕事の依頼を受けた時は、本当に嬉しそうでした。
トビラを開き、まずあるのが花森さんの言葉。
そのつぎの目次ページに、森本さんのカットが使われることになったのです。
連載だったのか単発だったのか、そのあたりはよく覚えていませんが、
筆のイラストではなく、布を使ったコラージュでした。

暮しの手帖2.JPG

よほど嬉しかったのか、それとも私を編集部に紹介しようと思ってくれたのか、
森本さんに誘われて、一度『暮しの手帖社』を訪ねたことがあります。
コンクリートの打ちっぱなし、テラスハウスのような外観。日よけに
大きな布のシェードが使われていて、とても会社とは思えない素敵な出版社。
居心地の良い空間で、当時編集長だった高野容子さんに、雑誌づくりのお話を
伺って帰りました。

その高野さんと、先日パレットクラブ『二人展』のレセプションで再会しました。
「弥生美術館での回顧展のときに、森本さんの作品が掲載された本を贈呈したのですが、
展示されなかったとのことで学芸員の方が返却してくださいました。
これは保存会にお渡しした方がよいと思い、今日、お会いできるのではないかと思って
持参しました。これで今日の大きな目的が果たせました」
そうおっしゃって渡してくださったのが、ここに掲載した『暮しの手帖2006 6・7月号』です。

この号では、目次カットのほかに、巻頭で森本さんのイラストが8ページに渡って
掲載されています。
タイトルは「あなたの旅をお手伝い」。タイトルカットのほかに、旅先で重宝する
カーディガンの着こなしを7パターンのイラストで紹介しています。

暮しの手帖3.JPG

暮しの手帖1.JPG

嬉しかった。本当に。。。
『暮しの手帖』の根底にあるのは、こういう気遣いや心配りなのだと実感しました。

この号の販売は終了してしまいましたが、「雑誌を読み捨てにしない」がモットーの
『暮しの手帖』、入手可能なバックナンバーもたくさんあります。
最新刊はもちろんですが、心に留まる内容がありましたら、ぜひ購入をお薦めします。

*『暮しの手帖』バックナンバー 
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/list/honshi

posted by チロリン at 16:30| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする