2016年01月16日

谷崎文学と着物

豆千代さんの本『着物ア・ラ・モード』(小学館)の仕事など、
森本さんは和装のイラストも数多く手がけました。

洋服と違い、寸胴に着こなすのが粋とされる着物。
胴回りにはパッドを当てたり、さらしやタオルを卷いて補正をするのが
一般的ですが、森本さんはそれを知りつつ、あえてウエストをキュッと
くびれさせたスタイルが好みでした。
デッサンをするときも、モデルさんに「ウエストの補正はしないで」と
頼んでいたといいます。

そんな着物つながりから、今日は弥生美術館の新しい取り組みのお知らせです。
3月31日から開催される「谷崎潤一郎文学の着物を見る 〜アンティーク
着物と挿絵の饗宴〜」に伴い、弥生美術館は初めてクラウドファンディングに
トライしています。

谷崎文学「細雪」「痴人の愛」等に登場する女性たちのモデルとなった
実在人物の写真から、当時の着物を忠実に再現。
着物を通して谷崎文学を掘り下げるという、画期的な展覧会です。
着物のセレクトと着付けは、アンティーク着物コーディネイターの
大野らふさんが担当。
集まった資金は着物の調達や仕立て直し、小物制作費等に使われます。

谷崎文学、そしてアンティーク着物が好きな方、弥生のクラウドファンディングに、
ぜひご協力をよろしくお願いいたします!

↓詳しくはコチラ。
https://www.makuake.com/project/yayoi-yumeji-museum/

posted by チロリン at 17:16| 弥生美術館・森本美由紀展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月29日

「森本美由紀展」の足跡をまとめました

弥生美術館での「森本美由紀展」は、27日をもちまして
好評のうちに終了いたしました。
最終日の来館者数は会期中最高の423名!
用意していたグッズもひとつ残らず完売し、大盛況でした。

7月3日から始まった森本美由紀展ですが、会期中にこれほど
たくさんのイベントを開催したのは、弥生美術館始まって以来
なのだそうです。
改めて振り返ってみると…。

*7月2日
開催前日に開かれた内覧会では、美術評論家の山田五郎さんが
シックと可愛さを融合させた、森本独自の世界観を解説。
http://info-morimoto.seesaa.net/archives/20150716-1.html

*7月19日
第1回「午後3時のゲリラ・トーク」
保存会を代表し、井出千昌が友人の視点から、森本さんの
仕事の裏話などをお話ししました。
http://info-morimoto.seesaa.net/archives/20150720-1.html

*7月26日
第2回「午後3時のゲリラ・トーク」
保存会の谷川里砂が、森本さんが主宰した活動、Rune Doll Associatesについて、
思い出話を交えながら解説。

*7月28日
第3回「午後3時のゲリラ・トーク」
森本さんのお母様にマイクを握っていただき、弟さんや従姉妹の方のお話も
挟みながら、森本さんの素顔を紹介していただきました。
http://info-morimoto.seesaa.net/archives/20150729-1.html

*7月30日
代々木上原の888ブックスで「夏のタマちゃん祭り」開催。
http://info-morimoto.seesaa.net/archives/20150728-1.html
タマ祭り.JPG

*8月9日
穂積和夫先生によるトークイベント。戦後のファッション・イラストの流れと
森本美由紀の位置づけを、わかりやすく解説してくださいました。
http://info-morimoto.seesaa.net/article/424306911.html

*8月17日
代官山蔦屋書店で1ヶ月に渡って開かれた「森本美由紀フェア」に伴い、
クロッキーモデルのニッキーさんとサエキけんぞうさんによるトーク
イベントを開催。司会は井出千昌、映像資料は吉田宏子
(共に保存会メンバー)が担当しました。
_MG_0080.jpg

*8月23日
荻窪の「6次元」で「森本美由紀ナイト」開催。
第一部:知られざる森本美由紀/内田静枝さん(弥生美術館学芸員)
第二部:デッサン会/星信郎先生(画家であり、森本さんの恩師)&
    ニッキーさん
2015.8.23-6jgen-14.jpg

*8月27日
第4回「午後3時のゲリラ・トーク」
森本さんのクロッキーモデルだったレイカさんが、スライドで秘蔵資料を
上映しながら、思い出を語ってくださいました。
http://info-morimoto.seesaa.net/archives/20150828-1.html
E383ACE382A4E382ABE381A1E38283E38293.jpg

*8月29日
「森本美由紀ナイト!」第一夜
サエキけんぞうさんと沼田元氣さんによるトークイベント。
おふたりと森本さんが参加していた句会の思い出から森本作品に見る
エキゾティシズムにまでお話が広がり、この集いを詠んだ俳句も
披露してくださいました。
numata-saeki-03.jpg

*9月5日
「森本美由紀ナイト!」第二夜
渋谷系ポップカルチャーを牽引した信藤三雄さん(アートディレクター)、
橋本徹さん(音楽プロデューサー/カフェ・アプレミディ店主)、
山本ムーグさん(DJ/グラフィックデザイナー)によるトークイベント。
時代のアイコンとなった森本作品の魅力を、デザイン面から解説。
2015.9.5-event03.jpg

*9月12日
午後5時のゲリラライブ敢行!
出演:ニッキー(vocal)
   CROSS(gutar/the LEATHERS、風ニ吹カレテ)
   サリー久保田(bass/ex.ファントムギフト、スクーターズ)
http://info-morimoto.seesaa.net/archives/20150914-1.html


今回の展覧会ではたくさんの方のお話を通し、これまで気づかなかった森本作品の魅力を
改めて発見することができました。
弥生美術館で開催したことも意義深く、特に森本作品に影響を与えた少女マンガとの関連性
などは、学芸員の方が幼少期〜高校時代までの作品を発掘し、展示してくださったことで、
初めて明確になった気がします。
国会図書館に何度も足を運び、調査を進めてくださった学芸員の内田静枝さんをはじめ、
弥生美術館のスタッフのみなさまに、この場を借りて御礼を申し上げます。

そして、この展覧会に来てくださったすべてのみなさまに、心から感謝いたします。
本当に本当に、ありがとうございました。

弥生での展覧会は終わりましたが、今後の展示予定については、近々ブログにUPいたします。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします!


posted by チロリン at 11:01| 弥生美術館・森本美由紀展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月25日

森本作品に影響を与えた漫画家、陸奥A子

陸奥A子.JPG

今回の「森本美由紀展」では、森本さんが学生時代に描いた作品も数多く展示されています。
好きだった作家の似顔絵もたくさんありますが、イラストレーターは原田治さんただひとりで、
あとは大島弓子さん、大矢ちきさん、一条ゆかりさんといった漫画家のものばかり。
そのなかに、なぜか『りぼん』の付録らしき紙袋があるのです。

茶色の封筒で、下にはオレンジ色のブロックライン、そしてそのラインに乗っている
陸奥A子さんの女の子のイラスト。
「こんな付録、あったかな。もしかしたら全員プレゼントじゃない、入手困難なもの?」
と思いながらよく見ると、なんとそれも森本さんの作品! 
印刷としか思えないクオリティの高さで、「なんでこんな絵を描ける人が、美術部じゃなくて
陸上部に入っていたんだろう」と、いまさらながらナゾですw。

森本さんは常々「自分のルーツは外国のお洒落なファッションイラストではなく、
少女マンガなの」と言っていました。
昔の少女マンガには何ページかに1点、全身で主人公をひたすら可愛く描きあげた
ボーナスカットが入っていました。そんな少女マンガの影響が、森本さんの絵に独自の
「かわいさ」を育んだのだと思います。

実際、自身も漫画を描くことに、とても興味を持っていました。
『mcシスター』に連載された「タマちゃん」もそうだし、そのタマちゃんがマナー博士と
なって活躍する「レモンエイジは…マナーのお年頃」では、毎回亜月裕さんの「伊賀野カバ丸」や
楳図かずおさんの「おろち」、山本鈴美香さんの「エースをねらえ!」などのパロディが、
ふんだんに盛り込まれていました。
それらの作品は閲覧ファイルのなかにありますので、弥生に行ったら「森本版陸奥A子」の紙袋と
ともに、要チェックです♪

写真は、次回開催の「陸奥A子×少女ふろく展」に併せて河出書房から発売される、
目録本と作品集です(これがもう超豪華! 掲載作品、究極のセレクトです)。
大判で蘇るA子タンの乙女ちっくワールド。第二次アイビーブームのど真ん中にいた10代の
森本美由紀のハートとお洒落ゴコロをガッチリとらえ、多大な影響を与えた陸奥A子さんの
展覧会も、ぜひ観に来てくださいね!

posted by チロリン at 16:06| 弥生美術館・森本美由紀展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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